IPv6に関する一般的なFAQ
- Q1. IPv6とは何ですか?
-
次世代のインターネットプロトコルとして標準化されたプロトコルのことです。
現在利用されているIPv4では、IPアドレスは32ビットで表され、単純計算で232=約42億個のアドレスしか利用できず、いずれアドレスが枯渇すると言われていますが、IPv6では128ビットで表され、単純計算で2128=約1038個という、無限に近いアドレスが利用可能です。また、IPアドレスの自動設定機能も盛り込まれています。
- Q2. IPv6アドレスはどのように表されるのですか?
- IPv4では、8ビット毎に10進数で表した数字をドットで区切る、
192.168.0.1
のような表し方をしました。
IPv6では、16ビット毎に16進数で表した数字をコロンで区切る、
fec0:0000:0000:01bc:00ff:fe5c:0000:a8dc
のような表し方をします。
しかし、これでは非常に長くて面倒なので、省略して表す方法があります。
- 16ビット内の上位側の "0" は省略できます。
例)fec0:0000:0000:01bc:00ff:fe5c:0000:a8dc
→ fec0:0:0:1bc:ff:fe5c:0:a8dc
- 連続する、:0:0:・・・ は、:: と省略できます。
例)fec0:0:0:1bc:ff:fe5c:0:a8dc
→ fec0::1bc:ff:fe5c:0:a8dc
ただし、この省略は1つのアドレス表記につき1ヶ所だけに限ります。
- Q3. IPv6のアドレス体系はどのようになっていますか?
- アドレスの階層的な割り当てを考慮し、以下のように定義されています。
- TLA ID: 最上位のISPを識別します。
- NLA ID: 下位組織を識別します。
各ユーザには、ここまでの /48 が割り当てられます。
- SLA ID: 組織内のサブネットを識別します。
- INTERFACE ID: サブネット内の端末を識別します。
ただし、TLAが非常に大きなアドレス空間になるため、当面は次のようにSub-TLA(sTLA)という少し小さな区分を設けて割り当てを行うこととなっています。
- Q4. IPv6にもプライベートアドレスはあるのですか?
- サイトローカルアドレスと呼ばれるアドレス空間(fec0::/48)が、IPv4で言うところのプライベートアドレスに相当するアドレス空間です。
しかしながら、グローバルアドレスが十分確保できるため、現在プライベートアドレスを使っているようにサイトローカルアドレスを使うことはほとんどないと考えられます。
2003/09/17追記:
サイトローカルアドレスは廃止されることが決まったようです。
- Q5. IPv6の利点は何ですか?
- いくつかあります。
- アドレスがたくさんあるので、NATのようなアドレス変換をする必要がありません。
これまで、IPv4アドレスの不足によりNATを使わざるを得ない場合、ネットワークゲームやVoIPなど、NATを通過できないプロトコルが通らないため、これらが使えませんでしたが、NATを使わなければ、このような制限がなくなります。
- 自動設定ができる
IPv6対応の端末は、接続するだけでIPv6アドレスの設定やデフォルトゲートウェイの設定など、通信に必要な設定を全て自動でやってくれます。これまでのように煩わしい設定をする必要はありません。
※IPv6ルータには、きちんと設定を行う必要があります。
- Q6. 同一のEthernet LAN上にIPv4とIPv6が混在しても大丈夫ですか?
- 大丈夫です。IPv6が扱える大部分の機器はIPv4も扱えるようになっています。
- Q7. IPv4で使えるアプリケーションはIPv6でも使えますか?
- IPアドレスの長さが異なるため、基本的に利用できません。アドレス変換を用いるか、IPv6対応パッチを当てることとなります。
- Q8. IPv6ではネットマスクはどのようになっていますか?
- IPv6では、ネットマスクは /64 に固定で、上位64ビットがサブネットを識別するために、また下位64ビットがサブネット内のホストを識別するために利用されます。
なお、1つの組織に割り当てるアドレスブロックも /48 に固定となっています。
※Q3.を参照
- Q9. IPv6しか使えない機器からIPv4上のWebサーバにアクセスするにはどのようにすれば良いでしょうか。また、IPv4しか使えない機器からIPv6上のWebサーバにアクセスするにはどのようにすれば良いでしょうか。
- 最も簡単な方法は、IPv4とIPv6の両方が使えるホストを準備し、この上でHTTPプロキシを動作させ、これを介してアクセスすることです。
これは、Webアクセスだけではなく、FTPやMailなど、その他のサービスにも応用できるやり方です。
- Q10. IPv6に対応した機器にはどのようなものがありますか。
- IPv6に対応したOSとしては
- FreeBSD
- Linux
- NetBSD(別途IPv6スタックを組み込む必要あり)
等があり、これらはルータとしても利用することができます。
その他、一部製品でIPv6のサポートが行われています。詳細はベンダーへお問い合わせ下さい。
- Q11. なぜIPv4の次がIPv6なのですか? v5はどこにいったのでしょうか?
- Version 5 に相当するプロトコルは、別のプロトコルとして定義されています。
- Q12. IPv6を使うとセキュリティやQoSが簡単に実現できるのですか?
- IPv6の規格には、IPSecやQoSのための規格が標準で取り込まれています。
しかし、セキュリティやQoSが簡単に実現できるとは今のところ言い難いと思います。
- Q13. IPv6 over IPv4 トンネリングとは何ですか?
- IPv6の導入初期には、IPv6のネットワークを相互に接続するために、専用のネットワークを構築するよりも既存のIPv4のネットワークを利用した方が効率的です。
そのため、IPv6パケットをカプセル化し、IPv4ネットワーク上を伝送する方法が採られます。この方法を IPv6 over IPv4 トンネリング と言います。
誤り等ありましたらご指摘下さい。
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