新年雑感 Ver.2000
昨年末、出張先のホテルで見た歌番組でエレファントカシマシが「ガストロンジャー」という曲を演っていた。そのステージと歌詞は強烈な印象を残した。
以下『』内は「ガストロンジャー」歌詞からの引用。
時は世紀末。昨年は臨界事故やトンネルのコンクリート崩落などいろいろなことが起こり、そのたびに「世紀末的」だと言われ、批判が渦巻いた。無論、世紀末だからこのようなことが立て続けに起こったというわけではなく、昨今の生活水準の向上に伴い増加したリスクがたまたま事故として表面化したに過ぎない。
臨界事故は、死者を出したことでより一層放射線の脅威を知らしめることとなった。しかし、事故が起こった背景には、ずさんな手順、ずさんな設備で作業が実施されていたことがあることは明白であり、この事故が即ち原子力が危険であるとは言いにくいであろう。
原発は危険だから止めればいいと言う人もいる。では、それによって不足するエネルギーはどうするのか。それに対する有効な解は今のところない。もし、暖かい地方でエアコンの効いた部屋で暮らしながらそんなことを言っている人がいるのなら、まずエアコンを使わず電気を節約することから始めれば如何だろうか。勿論、エアコンの代わりにストーブを使えば二酸化炭素を排出するというリスクを伴う。当然、これも批判の対象となりうるであろう。
トンネルのコンクリート崩落事故は、運が悪ければ乗客に危害が加わるような重大事故であり、JR西日本の責任が問われた。しかし、全てのトンネル管理者がきちんとした点検を行っていただろうか？ この報道を見て肝を冷やしたトンネル管理者もいたに違いない。
この事故ではJR西日本が営利を追求するあまり管理体制が甘くなったのではないかという批判も聞かれた。しかし、13年前に国鉄をJRという営利企業にしたのは我々国民である。仮に列車を全面運休させて点検したならば、移動時間が非常にかかる上、輸送力も限られる。
私たちは経済の発展により便利な生活を手に入れた。しかし、それと一緒にあらゆるリスクも背負うこととなった。そのリスクを恐れ、批判することは容易だが、そのリスクを取り除くことは即ち生活水準を後退させることを意味するのが悲しい現実である。勿論、後退させずにリスクを減少させる方法の研究を進めることが重要であるが、それが進んでいないのは周知の通りである。
結局、色々批判したところで世の中なるようにしかならない、ということであろう。
『お前正直な話率直に言って日本の現状をどう思う？
俺はこれは憂うべき状況とは全然考えないけれども、
かといって素晴らしいとは絶対思わねえな俺は。』
うん、全く同感。じゃあ「素晴らしい」ってどういうことなんだろうか？
江戸時代が素晴らしかったのか？ もしかしたら、やっぱり現状が素晴らしいのかも知れない。
『俺が生まれたのはそう所謂高度経済成長の真っ只中で、
それは日本が敗戦に象徴される黒船以降の欧米に対する
鬱屈したコンプレックスを一気に解消すべく、
我々の上の世代の人間が神風のように猛然と追い続けた、
繁栄という名の、そう繁栄という名の、繁栄という名のテーマであった。
嗚呼そして我々が受け継いだのは豊かさとどっちらけだ。』
その結果が上に示したリスクなのだろう。
まぁ「リスク」は全世界的な話であって上の歌詞とは若干意味が違うんですけど。
ちょっと話題を変える。
『翻って己自身の現状を鑑みるに、
これはやっぱり良いとも悪いとも言えねえなあ俺の場合は、君はどうだ？
俺はこれは憂うべき状況とは思っていないけれども、
ならばこれが良いのかと問われればまあまあだと答えざるをえないのがおおいに不本意だ。』
昨年一年間、私は無為に過ごした。ならばそれが悪いのかと言われれば、そこそこ生活出来ている訳だから悪いとは言えない。しかし、納得のいく生活かと言えば、そういう訳でもない。で、そこから一歩踏み出すことが出来るか、といえば、そのリスクを考えるとちょっと踏みとどまってしまう。
こうしてミレニアムの記念すべき年も無為に過ぎていくことだろう。
なんか、毎年同じこと書いてるなぁ〜
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